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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第58章 《弐》
「うちの人が事切れた後もずっと手に握りしめてたっていうお守りの袋に、桔梗の花が織り出されていたんです。そのお守りは私がその日―うちの人が殺されちまった日の朝、出かける間際に持たせたもので。まさか、そのまま二度と生きて逢うこともないだなんて、お互いに考えもせずに送り出しました」
 おせんは、ふっと笑う。それは、いつもの花開くような華やかなものではなく、別人のような淋しげな微笑だった。
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