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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第60章 《其の壱》
 それでも寝たきりの状態で過ごし、何とかここまで持ちこたえたのだが、腹の赤児はもう堪忍袋の緒を切らしてしまったらしい。
―お願いでございますから、今少し、母君さまのお腹の中にいらっしゃって下さいませ。
 まだ生まれもせぬ赤児に、弥子は本気で語りかけた。
「それで、お生まれになる和子さまの乳人(ちのひと)を急遽、定めなくてはならなくなってな」
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