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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第61章 《其の弐》
どうか、これよりも健やかに育って欲しい。
母として何も我が子にしてやれぬ母は、ただ子どもたちの健やかな成長と幸いを祈るしかできない。
「また、すぐに帰って参りますよ。そうすれば、じきに逢えます」
弥子はしゃがみ込むと、郁奈と同じ眼線の高さになった。振り分け髪を愛おしげに撫で、優しく言い聞かせる。
弥子にというよりは、嗣道に似た郁奈は、お世辞にも器量が良いとはいえない。しかし、黒眼がちの瞳は利発げに輝いている。