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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第61章 《其の弐》
小さな愛らしい小花を一杯につけた花房が春の風に微かに揺れていた。この花を見ていると、嫌が上にも我が家を思い出す。十三夜の月の夜、良人と並んで縁側に座って馬酔木の花を眺めたのはつい十日ほど前のことなのに、もう随分と昔のことのように思える。
こうやって、刻はうつろい、流れ、弥子の中で大切な想い出も風化してゆくのだろうか。そして、同じように、弥子の大切な人々の中でも、弥子や弥子と共に過ごした記憶はいつしか薄れ、消えてなくなってしまうのだろうか。
こうやって、刻はうつろい、流れ、弥子の中で大切な想い出も風化してゆくのだろうか。そして、同じように、弥子の大切な人々の中でも、弥子や弥子と共に過ごした記憶はいつしか薄れ、消えてなくなってしまうのだろうか。