この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第64章 十三夜の月 《壱》
―もっと自信を持て、美咲。そなたが思うほど、美咲はつまらぬ女ではない。兄の欲眼もあろうが、なかなかに可愛い。何より、素直なその気性が良い。たいがいの男は、そのように大人しやかな女子を好むもの、殊に妻とする女は、そなたのように出しゃばらず控えめな方が良い。
壱之進が嫁入りの話を承諾したと教えてくれた時、よほど嬉しかったのか、兄はそう言ったが、果たして、壱之進はどうだったのだろうか。兄の言葉どおり、あの科白には少なからず身贔屓が入っていたに違いない。
壱之進が嫁入りの話を承諾したと教えてくれた時、よほど嬉しかったのか、兄はそう言ったが、果たして、壱之進はどうだったのだろうか。兄の言葉どおり、あの科白には少なからず身贔屓が入っていたに違いない。