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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第64章 十三夜の月 《壱》
―もっと自信を持て、美咲。そなたが思うほど、美咲はつまらぬ女ではない。兄の欲眼もあろうが、なかなかに可愛い。何より、素直なその気性が良い。たいがいの男は、そのように大人しやかな女子を好むもの、殊に妻とする女は、そなたのように出しゃばらず控えめな方が良い。
 壱之進が嫁入りの話を承諾したと教えてくれた時、よほど嬉しかったのか、兄はそう言ったが、果たして、壱之進はどうだったのだろうか。兄の言葉どおり、あの科白には少なからず身贔屓が入っていたに違いない。
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