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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第64章 十三夜の月 《壱》
 今日という日の一日の終わりに名残を惜しむかのように、残照が輝いている。その輝きを受けた空が、山が燃えているようだ。夕陽を浴びた紅葉の紅がひときわ鮮やかに燃え立つようであったが、その美しさは何故か妙に物哀しさを漂わせているように思えた。
 すべてが茜色に染まったその光景は色鮮やかでありながら、悲愴感さえ感じるほどに美しい。いつしか、その光景に見入る美咲の頬をひとすじの涙が流れ落ちていった。
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