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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第64章 十三夜の月 《壱》
「それゆえ、家族にも黙って家を出てきてしまったのです。やはり、一度は江戸に戻り、両親や兄にすべてを話して安心させてやりたいと思います。もう私のことなら大丈夫だと、一人でもちゃんと歩いてゆけると自分の言葉で伝えたいのです。その上で、すべてが片付いたら、また、ここに戻って参ります」
美咲は今の自分の心境をありのままに伝えた。
輿助が信じられないといった眼で美咲を見つめた。
「本当に―その言葉を信じて良いのか?」