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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第7章 《巻の弐》
 そこまで考えた時、泉水はフウと意識が遠のくのを憶えた。
「姫さまっ、姫さまっ?」
―時橋ったら、あんなに慌てて。また“姫さま”と呼んでいる。でも、本当は私は、“お方さま”などと呼ばれるより、“姫さま”と呼ばれたい。槙野の、父上の娘でいた頃のように、泰雅さまも何も知らなかった頃に帰りたい―。
 泉水はそんなことを考えながら、ゆっくりと暗い闇に沈んでいった。
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