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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第9章 《巻の四》
本物の恋を知った時、俺はもう他の女は要らねえと思った。お前以外の女なぞ抱く気にもならねえ。俺の欲しいのは、抱きたいのは泉水、お前一人なんだ。もっとも、俺の今までの良いか加減な生き方を見てりゃア、そんな殊勝な言葉も所詮は女の口説き文句の一つだと思われても仕方はねえがな」
随分と淋しげな声は、かすかに聞こえる雨音に紛れるほど小さかった。
その整いすぎるほどの横顔は、泉水でさえハッとするほどの孤独の翳りに覆われていた。