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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第2章 巻の壱ー槇野のお転婆姫ー
 泰雅はそれが判らぬほど愚かな男ではないはずなのだが、もしくは、泉水が実家に現状を申し送ることはないと最初から高をくくっているものか。泉水が父に何も言わないのは、ただ心配をかけたくないからだけではない。自分の訴え一つが両家の間に要らぬ争いを起こしてはならぬと考えるからでもある。切れ者と評判の男ならば、泉水の腹の内なぞ端から見抜いているのかもしれない。
「姫さま、姫さま、私の申し上げることをお聞きになられているのでござりますか!?」
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