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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第11章 《巻の壱―予期せぬ災難―》
しかし、やはり〝今光源氏〟と呼ばれるだけあって、泰雅ほどの美しい男はこの江戸の町広しといえども、なかなかお眼にかかれない。妻の泉水としては嬉しくもあり誇らしくもあり、また同時に心配なところでもある。
泉水は極めて十人並みの顔立ちで、とりたてて美しくもないことは自分でも判っている。透き通ったすべらなか膚と豊かな黒髪だけが唯一の取り柄らしいところだ。こんな自分と泰雅ではおよそ釣り合わぬことも承知しているのだ。
泉水は極めて十人並みの顔立ちで、とりたてて美しくもないことは自分でも判っている。透き通ったすべらなか膚と豊かな黒髪だけが唯一の取り柄らしいところだ。こんな自分と泰雅ではおよそ釣り合わぬことも承知しているのだ。