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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第11章 《巻の壱―予期せぬ災難―》

「俺も正直、この五日間、途中で何度も助からねえんじゃないかと思ったよ。まァ、医者の話では頭はさほど傷んでないから、万が良けりゃア助かるってことだったから、望みは捨ててはいなかったけどな。大変な目に遭って、災難だったな。全く、人通りの多い大通りをあんな滅茶苦茶な速さで馬を駆けさせるなんざア、気違い沙汰ってもんさ。あんな荷馬車にまともにぶつかっちまえば、生命が幾つあったって足りやしねえ。お前はつくづく運が良かったよ」

