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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第12章 《巻の弐―待ち人―》
二、三日前から、泉水は不器用ながらも三度の飯の支度や洗濯を引き受けて、何とかこなしている。
お嬢さま育ちの泉水にとって、いわゆる家事というものは初めての体験であった。事故に遭った当時の身なりからも泉水が相当の
武家の家の娘であることは誠吉も察しているらしく、別段不思議がったり、迷惑そうな顔をすることもない。
いくら教えても味噌汁に砂糖を入れたり、大根の煮付けに醤油を入れなかったりする泉水を傍で笑って眺めているだけだ。
お嬢さま育ちの泉水にとって、いわゆる家事というものは初めての体験であった。事故に遭った当時の身なりからも泉水が相当の
武家の家の娘であることは誠吉も察しているらしく、別段不思議がったり、迷惑そうな顔をすることもない。
いくら教えても味噌汁に砂糖を入れたり、大根の煮付けに醤油を入れなかったりする泉水を傍で笑って眺めているだけだ。