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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第12章 《巻の弐―待ち人―》
「まあ、焦りは禁物じゃ。わしの診立てよりも傷の方も軽かったようだし、正直、このように早くに回復するとは思わなかったほどよ。ただ、ここはな」
 宗竹は自分の白髪頭を人差し指でチョンチョンとつついた。
「思うようにはゆかぬだろうて。むしろ、記憶を手放した程度で済んで良かったと思わねばならん。頭の中を傷めて無茶苦茶になっておったとしたら、もう生命は無くなっておったじゃろうからの。あのような事故であれば、助かったこと自体が奇蹟のようなものだぞ」
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