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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第12章 《巻の弐―待ち人―》
「わしは、たとえ話をしてるおんじゃ。何をそうカッカッとしておる。それにの、誠吉、真におさよちゃんの記憶を取り戻そうと思うのであれば、そのような荒療治を試みる価値は十分にあると、わしは思うぞ。お前やわしが考える以上に、おさよちゃんは辛いはずじゃ。それに、おさよちゃんを待っておる人たちもおろう。おさよちゃんがここに来て、はや半月余り、待つ者にとっても長く辛い日々のはずだからな、わしは手立てがあらば、何とかして、おさよちゃんに思い出させてやりたいと思うておる」