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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第12章 《巻の弐―待ち人―》
 おさよの両親は父親は棒手振りの魚屋、母親は近くの一膳飯屋に通いで仲居として奉公していた。誠吉はおさよを妹のように可愛がっており、家族ぐるみの付き合いがあった。
 誠吉が十の年の冬、江戸に流行風邪が蔓延した。質の悪い風邪で、年寄りや幼い子どもなど抵抗力のない者たちが次々に倒れ、帰らぬ人となった。不幸が突然、誠吉を襲ったのである。働き盛りの誠吉のふた親が次々に病に倒れ、亡くなった。
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