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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第12章 《巻の弐―待ち人―》
 泉水がそんな想いに沈んでいると、誠吉が我に返ったように言った。
「おっ、もうこんなに暗くなっちまったか。随分と話し込んじまったようだな」
 周囲を眺め、ぼやきながら誠吉は行灯に火を入れている。
 いつしか長い夏の陽も暮れ、狭い四畳半は薄い闇が立ちこめている。外は薄墨を溶きながしたような夜の色に染まっていた。
「きれいですよね、この花。早速、お水を上げなきゃ」
 泉水が明るい声で言うと、誠吉が頷いた。
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