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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第12章 《巻の弐―待ち人―》
 それからも泉水は夜毎、夢を見た。
 泉水は暗闇の中をただひたすら歩いてゆく。周囲には真っ暗な闇の帳が降りていて、ひとすじの光さえ見当たらない。
 何かを掴もうと手を伸ばしてみても、空しく宙を泳ぐばかり。
 ほら、また、遠くで私を呼んでいる。
 あの人は誰?
 切なげで哀しそうな声。
 お願い、あなたは誰なのか教えて。
 あなたが誰でも良いから、私をここから連れ出して。
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