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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第12章 《巻の弐―待ち人―》
「―思い出せない」
 泉水は呟き、いやいやをするように首を振った。涙が溢れ、頬をつたい落ちる。
 あの人は、闇の向こうからいつも自分を呼び続ける人は誰?
 それでも思い出そう、記憶を手繰り寄せようとしていると、いつものように烈しい痛みが起こった。細い紐で締め上げられているかのように、頭が軋む。泉水は両手で頭を抱えた。
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