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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第12章 《巻の弐―待ち人―》
誠吉の言うように前向きに生きていった方が良いのだと思う傍ら、あの切ない呼び声を無視することも忘れ去ることもできないと思う。
「これを受け取ってくれねえか」
ふと差し出されたのは、かんざしであった。
二つの夕顔の花を象った愛らしいかんざしは、やはり泉水が事故に遭った時、持っていたものと同様、黄楊でできている。
「お前はこういう感じのが気に入ってるのかなと思って、黄楊で拵えてみたんだ。ほら、俺のかんざしを最初に持ってただろう?」
「これを受け取ってくれねえか」
ふと差し出されたのは、かんざしであった。
二つの夕顔の花を象った愛らしいかんざしは、やはり泉水が事故に遭った時、持っていたものと同様、黄楊でできている。
「お前はこういう感じのが気に入ってるのかなと思って、黄楊で拵えてみたんだ。ほら、俺のかんざしを最初に持ってただろう?」