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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第12章 《巻の弐―待ち人―》
「俺はお前を身代わりだなんて、これっぽっちも思っちゃいねえよ。確かに、お前はどこか、おさよに似てる。姿形とかじゃなくて、もっと奥深いところで似てるさ。でも、俺はだからお前に惚れたんじゃねえ。何も思い出せねえ、自分の名前すら判らなくても、お前はいつも一生懸命に生きようとしている。恐らく飯の支度なんぞしたこともねえお嬢さまがそれでも必死で飯を炊き、味噌汁をこしらえてる。どんなことだって、嫌な顔一つせず、くるくる働いてる、そんなお前の姿に惚れたんだ」