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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第15章 《巻の壱―幻―》
このような男に大切な娘を嫁にやりたいと思う親がいるはずもなく、〝今光源氏〟と異名を取るほどの艶やかな美男でありながら、泰雅は独り身であった。当人もまた、気ままな独身生活を謳歌しており、強いて妻を娶るつもりもなかったらしい。
ところが、である。そんな泰雅のゆく末を将軍家宗公は殊の外憂えた。女狂いの遊び人とはいえ、この泰雅、実は将軍家とも縁続きの男である。泰雅の母景容院は家宗公の姪に当たる。つまり、景容院の母恭姫(やすひめ)が家宗公と母を同じくする妹君になるのだ。
ところが、である。そんな泰雅のゆく末を将軍家宗公は殊の外憂えた。女狂いの遊び人とはいえ、この泰雅、実は将軍家とも縁続きの男である。泰雅の母景容院は家宗公の姪に当たる。つまり、景容院の母恭姫(やすひめ)が家宗公と母を同じくする妹君になるのだ。