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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第15章 《巻の壱―幻―》
 泰雅のことどころか、我が身の素性さえ思い出せぬ状態となったのだ。幸いにも誠吉という若い飾り職人に助けられ、誠吉の許で養生したお陰で一命を取り止め、記憶を取り戻すことができた。
 しかし、誠吉が泉水に惚れてしまい、誠吉になびこうとせぬ泉水に乱暴しようとさえした。誠吉の許を辛くも逃げ出した泉水は漸く良人泰雅の許に戻ることができたけれど、今でも誠吉のあの淋しげな笑顔がふと心をよぎることはある。
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