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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第15章 《巻の壱―幻―》
子どもは男の子で七、八歳くらいだろうか、大きな犬に吠えかかられ、すっかり怯えて泣きじゃくっている。泉水は刀から手を放すと、静かに彼等に近づいた。まず泣いている男の子の肩にそっと手をのせ、耳許で囁く。
「泣かないで、もう、大丈夫だから。泣き声が余計に犬を刺激してしまうの。だから、良い子だから、泣き止んでちょうだい」
急に話しかけられた子どもは最初愕いていたが、すぐに泣き止んだ。泉水は子どもを安心させるように微笑んで見せると、まだ唸り声を上げている野犬に更に近づいた。
「泣かないで、もう、大丈夫だから。泣き声が余計に犬を刺激してしまうの。だから、良い子だから、泣き止んでちょうだい」
急に話しかけられた子どもは最初愕いていたが、すぐに泣き止んだ。泉水は子どもを安心させるように微笑んで見せると、まだ唸り声を上げている野犬に更に近づいた。