この作品は18歳未満閲覧禁止です
蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第15章 《巻の壱―幻―》
元々、泉水は動物が嫌いではない。どちらかといえば、好きな方だ。幼い頃には、四十雀(しじゆうから)を飼っていたこともあるほどだ。それに、たとえ犬であれ猫であれ、動物にも心はちゃんとあるはずだ。こちらが心を開いて話しかければ、きっと向こうも心を開いてくれるはずだという確信があった。
だが、幼い子どもにしてみれば、あっという間にたけり狂う猛犬を手なずけてしまった泉水が手妻(手品)使いのように見えたのだろう。