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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第15章 《巻の壱―幻―》
「今のあなたのお考えは、よく判りました。最早、あなたにとっては夢は夢、想い出のすべては過去の残骸でしかないのですね。ですが、私はそう容易くは諦めませぬ」
「あなたは一体、何を―」
 何を諦めないというの? そう訊こうとした泉水に、僧が冷たい笑みを刻んだ。まるで、見る者の心を瞬時に凍えさせてしまうほどに。それほどまでに酷薄な笑みであった。
「今日は、ひとまず、お帰りなさい。あなたが選んだ、たった一つの現実とやらの世界に」
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