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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第15章 《巻の壱―幻―》
―私は待っていますよ。
 唐突に、澄んだ声音が耳の底で鳴り響いた。まるで天上の楽の音(ね)のように浄らかでいて、地獄からの使者のように人の心を妖しく惑わせる不吉な声。
 泉水は、ゆらりと立ち上がると、何ものかにあやつられる傀儡(くぐつ)のようにふらつきながら絵馬堂を後にした。
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