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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第16章 《巻の弐―花―》
 傍らに控えた時橋がキッと眦(まなじり)をつり上げた。
「脇坂さま、たとえご家老のお立場にあるお方とは申せ、今のお言葉は聞き捨てなりませぬぞ。いきなりお越しになってのそのお言葉、一体何とお心得か?」
 唇をわななかせる時橋を泉水は制した。
「脇坂どの、そなたがわざわざそのようなことを申しにくるとは、よほどのことであろう。その理由(わけ)をしかと聞かせて貰えぬか」
「は、ありがたきご諚にござります」
 倉之助は面を上げると、居住まいを正した。
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