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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第16章 《巻の弐―花―》
されど、この榊原のお家は畏れ多くも初代神君東照公以来、脈々と続いた由緒正しきお家柄、ましてや、殿は公方さまのお血筋をも引かれるお方にござります。先代泰久公が三十歳というお若さでお隠れあそばされた経緯を考えれば、殿には一日も早くこの榊原のお家をお継ぎにならるるご立派なお世継を儲けて頂かねばなりませぬ」
まだ何か言おうとする時橋に首を振り、泉水は頷いた。
「そちの申すことは理(ことわり)、武家にとりて世継がおらぬ大変さは、この私も身に滲みておる」
まだ何か言おうとする時橋に首を振り、泉水は頷いた。
「そちの申すことは理(ことわり)、武家にとりて世継がおらぬ大変さは、この私も身に滲みておる」