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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第16章 《巻の弐―花―》
「まあ、そう怒るでない。殿にご侍妾をという話をあらかじめ先に私に通してくれただけでも、まだしも良かったのではないか。これが後先になっていたら、私も口惜しかったろうが」
泰雅がひそかに寵愛する女に子を生ませたという事実無根の噂が流れた時、泉水は大きな衝撃を受けた。それは、その噂の内容もさることながら、そのような大切なことを泰雅が最後まで自分に隠し通していた―むしろ、そのことで、裏切られたという想いがしてならなかった。