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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第17章 《巻の参―幻(げん)花(か)―》
 この御堂らしき建物に閉じ込められてから、はや丸一日近くが経つ。その間、徳円は一度だけ姿を見せ、数個の握り飯と竹筒に入った水を置いていった。最初は意地でも食べてやるものかと思っていたけれど、いざ逃げ出すときに空腹では動けない。そう思い直して、ここは大人しく差し出された握り飯を平らげた。
 時間だけが空しく過ぎてゆく。流石に気丈な泉水も焦りを隠せない。今頃、また、榊原の屋敷は大騒ぎになっているに違いない。
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