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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第17章 《巻の参―幻(げん)花(か)―》
男が面をおもむろに取った。その下から現れたのは―、やはり予想したとおり、僧徳円であった。それよりも泉水を驚愕させたのは徳円の言葉そのものであった。
今、この男は何と言った?
―死んでから七年も過ぎ去ってしまえば、私はあなたにとっては過去の亡霊にすぎないのでしょうか?
〝死んでから七年も過ぎ去って―〟、その一部分だけが泉水の中で大きく鳴り響く。
声音が硬くなるのをこらえ、泉水は訊いた。