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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第19章 《其の壱―嵐―》
「いかがした?」
 泰雅を起こさぬように低声(こごえ)で訊ねると、襖の向こうから控え目な時橋の声が応えた。
「表よりご家老の脇坂さまがお見えでござりまする。何か殿に至急言上したいとのことにて」
「あい判った」
 泉水が頷いた時、泰雅がゆっくりと上半身を起こした。
「何事か」
 問うのに、泉水は時橋の言葉をそのまま伝える。
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