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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第3章 《巻の弐―運命の悪戯―》
その瞬間から、泉水にとっては辛い日々が始まった。定められたままに嫁いだ我が身に、よもや恋やひとめ惚れといったものが訪れるとは夢にだに考えたことはなかった。
数日後、泉水は再び時橋の眼を盗んで、屋敷を抜け出した。あの場所に行ったからとて、男に逢えるはずはないと思っていたけれど、行かずにはいられなかった。確かな約束を交わしたわけでもないのに、あそこにゆけば、何かが起こりそうな気がしてならず、せき立てられるようにして和泉橋のたもとへ行った。
数日後、泉水は再び時橋の眼を盗んで、屋敷を抜け出した。あの場所に行ったからとて、男に逢えるはずはないと思っていたけれど、行かずにはいられなかった。確かな約束を交わしたわけでもないのに、あそこにゆけば、何かが起こりそうな気がしてならず、せき立てられるようにして和泉橋のたもとへ行った。