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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第19章 《其の壱―嵐―》
 時橋は誕生直後から、泉水を育ててきた乳母である。いわば、母と呼べる大切な存在であった。
「承知致しました」
 時橋は心得顔で頷いた。
 外では相変わらず強い風が唸りを上げている。皐月の終わりに、嵐でもあるまいにと泉水は暗い気持ちで風の音に耳を傾けていた。
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