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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第3章 《巻の弐―運命の悪戯―》
 そっと肩に手を乗せられ、泉水は愕いて振り向いた。今日の泉水は男姿ではなく、屋敷にいるときのように紅い小袖を着ている。お気に入りの薄紅色の花びらが全体に散った柄だ。
「ここに来れば、逢えるのではないかと思った」
 深い声に、心まで吸い込まれそうになる。
 この男は声までも人を魅了する。
「今日はまた別人のようだな、綺麗だ」
 男は川面に当たって弾ける春の陽に眩しげに眼を細めた。
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