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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第3章 《巻の弐―運命の悪戯―》
そのことが喉にかかった魚の小骨のように気がかりではあったけれど、そんなこともどうでも良いと思ってしまうほど、泉水は男に惹かれていた。
「威勢が良いかと思えば、急に紅くなったり泣き出したり、ころころと表情の変わる娘だな。―可愛い」
顎を掴んで持ち上げられると、間近に男の貌があった。互いの息遣いさえ聞こえそうなほどに、端整な貌が迫っている。
思わずうつむこうとすると、男が囁いた。
「眼をそらさないで」