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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第19章 《其の壱―嵐―》
むろん、伴の者たちもよく闘ったが、家臣に守られるはずの泰雅が実は家臣たちよりも腕が立ったというのは皮肉な話だった。結局、賊は泰雅の右腕に斬りつけ、浅手を負わせただけで退散した。というのも、三人の刺客の中、一人は深手を負い、一人が囚われの身となったからだ。泰雅に斬りつけた男だけが唯一、傷を負っていなかった。その男が深手を負った仲間を連れ、逃げ去り、捕らえた男は尋問の責め苦を受けるより前に自らその場で舌を噛み切って死んだ。