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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第20章 《巻の弐―予期せぬ客人―》
 殊に時折、ちらりと掬い上げるように見つめてきたときには、泉水でさえハッとするほどの色気があった。泰雅もかつては、黙って見つめただけで、その愁いの含んだ眼で女を落とすことができると云われていたらしいが、この男もまた〝女殺し〟であることに変わりはないらしい。
 全く、この男は女である泉水よりもよほど色気がある。どうにもそれが悔しいやら腹立たしい。泉水は一人で理不尽な怒りに震えた。
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