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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第20章 《巻の弐―予期せぬ客人―》
この男は虫も殺さぬような優しげな顔をして、怖ろしいことを平然と言ってのける。底知れぬ怖ろしさがあった。
「家臣どもが勝手に致したことと言い訳して、罪を逃れる気は毛頭ござらぬが、我を思う忠義心がいささか先走りすぎたものと存ずる。どうか許してやって頂きたい」
流石に、光利は母昭英院の名は出さなかった。この短いやりとりだけでは、昭英院が今回の事件に関与しているのかどうかまでは判らず、また確かめようもない。