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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第20章 《巻の弐―予期せぬ客人―》
「判りました。そのお言葉、しかと承ります」
泉水が頷くと、光利がふと呟いた。
「榊原どのも私と同じ類の人間であろう。それゆえ、あの男もまた将軍の位なぞに何の魅力も感じてはおらぬことは判る。世俗の欲―、いわゆる立身出世や栄耀栄華にはとんと興味も関心もない。だが、いつの世にも己れのみが利を貪りたい輩はごまんといる。そのような奴らに、榊原どのにまつわる秘密が利用できる恰好の材料と思われても致し方はなかろう」