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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第16章 第四話【花笑み】 《其の弐》
美空自身は、けして玉の輿を望んだわけではなかった。ただ愛する男の傍にいたいと願い、共に生きることを選んだ結果が、今の場所であっただけのことだ。
人はその数奇な運命をこの上ない幸運と呼び、夢物語のような立身出世だと言う。しかし、美空にとっては、御台所という地位も呼称も実は何の意味も持たない、もし幸福を感じるとすれば、今この瞬間、惚れた男の傍にこうして寄り添っていられること、ただそれだけのことに意味がある。