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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第2章 《其の壱》
 もしかして憐れまれたのかもしれないという考えがちらりと脳裡をかすめたが、眼前の男は彼の端整な容貌を照らし出す秋の終わりの陽差しそのもののような屈託ない笑みを浮かべている。
 その表情には美空に対する嘲りや憐れみのようなものは、ひとかけらも混じってはいない。
「この櫛には傷一つついてはおりませんし、売り物にならないということもございませんが、あなたがそこまでお気に入ったのなら、差し上げますよ」
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