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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第16章 第四話【花笑み】 《其の弐》
 美空は良人の横顔を眺めながら、ある物を懐からそっと取り出し、指し示して見せた。
「上さま、こちらをご覧下さりませ」
 その言葉に何げなく振り向いた家俊が眼を見開いた。端整な顔に軽い愕きがひろがる。
「このようなもの、まだ大切に持っていたのか」
 美空の白い手のひらの上に載せられていたのは―。そう、あの櫛であった。
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