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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第16章 第四話【花笑み】 《其の弐》
 花の季節もそろそろ終わる。
 何故か、そのことに一抹の淋しさと心残りを憶えつつ、美空が〝源氏物語〟の〝若紫〟の巻を閉じたその時。
「御台さま、智島にございます」
 襖の向こうから遠慮がちに声をかけられ、美空はハッと顔を上げた。
「智島か、入るが良い」
 ほどなく静かに襖が開き、智島が畏まって現れた。
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