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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第16章 第四話【花笑み】 《其の弐》
 更にそれから数日が流れたある日。
 その日は、どんよりとした灰色の空が江戸の町の上を覆っていた。陽が照らないため、日中も気温が上がらず、冬に逆戻りしたかのように大気も冷たい。
 鉛色の空を眺めていると、自分の心まであんな色にどす黒く染まってしまうようで、美空はこの季節には珍しいことに障子戸をきっちりと閉め、部屋の中で本を開いていた。
 もっとも、庭の桜も殆ど散ってしまっている。辛うじて残っている花ももし雨が降れば、今度こそ全部散ってしまうだろう。
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