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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第16章 第四話【花笑み】 《其の弐》
 そのときの初瀨の気持ちは、いかばかりであったか。それ以前にも、矢代は将軍の側室にと強く望まれたことがあったほどだ。あのときは、矢代自身がそれを固辞し、後見の永瀬もまた将軍に矢代は諦めるようにと懇願したせいで、矢代が側室となることはついになかった。
 何故、矢代なのか。
 何故、あの女だけが注目を浴び、陽の当たる場所にいるのか。
 初瀨は疑問に思わずにはいられなかったろう。 
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