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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第16章 第四話【花笑み】 《其の弐》
 矢代が自分より先に御客会釈になった時、初瀨の心はどす黒い妬みで塗り込められ始めたのではないか。
 昨日までの友はいない。初瀨にとって、矢代は憎むべき敵、競争相手となったとしたら。
 むろん、当の矢代自身は全く、身に憶えのないことであったに相違ない。初瀨もまた、上辺の態度であからさまに相手を敬遠するような大人げないふるまいはしなかったろう。
 が、取り繕ったぎごちない笑顔の下で、松瀬の矢代への憎悪はますます烈しく燃え上がっていったのだとしたら―。
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