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激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第18章 第四話【花笑み】 《其の四》
同じ頃、美空もまた智島に導かれ、大奥の長い廊下を歩いていた。磨き抜かれた廊下はしんと冷たく、素足から木の冷たさが伝わってくる。桜の花は既に散ってしまったけれど、まだまだ夜気には膚寒さが潜んでいる。
智島が紙燭で美空の脚許を照らすようにして先導する。将軍夫妻が臥所を共にする寝所の前まで来ると、智島はその場に手をつかえた。
「それでは、御台さま。どうぞごゆるりとお過ごし下さいますよう。おやすなさいませ」