この作品は18歳未満閲覧禁止です
激愛~彼の瞳に射貫かれて~
第3章 《其の弐》
その日、まだ来てはおらぬ孝太郎を待ちながら、美空は物想いに沈んでいた。孝太郎とは二、三日に一度は必ず逢っている。逢えば互いの近況報告をしたり、時には大池まで脚を伸ばしたりと恋人らしいひとときを愉しんでいる。
なのに、何故か、知り合ったばかりの頃の方が、孝太郎の存在を身近に感じられたように思えてならない。この頃、孝太郎がひどく遠く―あたかも自分の手が届かないほど隔たった場所にいるように感じられることがしばしばあった。